芥川龍之介「羅生門」のあらすじ解説と感想文

芥川龍之介「羅生門」のあらすじ解説と感想文

羅生門は芥川龍之介先生が
大正4年(1915年)23歳の時に発表した作品です。

 

芥川龍之介先生の代表作とも言える
名作中の名作ですが、
あえて一石投じるような事も含みながら
感想を書いてみたいと思います。

 

 

下人が羅生門の下で
雨やどりをしているところから話は始まります。
下人は雨のやむのを待っていますが、
雨がやんでもどうしようというあてはありません。

 

主人に暇を出され、行くところもなく、
明日の暮らしをどうにかしなければならないと、
「どうにもならないことを、どうにかしよう」
と右のほほのにきびを気にしながら、
思索にふけっていました。

 

どうにもならないことを、どうにかするためには、
手段を選んでいる場合ではないと、
盗みを考えますが、やはりそれを
肯定する積極的な勇気はありませんでした。

 

人目にかからず楽に寝られそうな所で夜を明かそうと、
門の楼へ上りました。

 

ここで今まで「下人は」と指し示された人物を指して
「一人の男が猫のように、身をちぢめて、
息を殺しながら、上のようすをうかがっていた」
と表現しています。
「にきびのある頬である」
という表現で、「一人の男」が「下人」であると一致させます。
秀逸な表現にホレボレしてしまいますね…。

 

楼の上には腐乱した死体が転がっていますが、
そこにうずくまっている白髪頭の猿のような老婆をみつけます。

 

下人は六分の恐怖と四分の好奇心で
呼吸をするのも忘れ老婆を観察します。
老婆は死体の頭から髪の毛を抜き取っていました。

 

髪の毛が一本ずつ抜けるのに従って、
下人の心から恐怖心が消え、
それと同時に激しい憎悪が動き始めました。

 

老婆に対してというよりも、
あらゆる悪に対しての憎悪が、
一分ごとに強さを増していきました。

 

餓死か盗人になるかを今下人に尋ねたら、
下人はためらいなく餓死を
選ぶであろうという心境になりました。

 

下人が老婆に歩み寄ると、
老婆は驚き飛び上がり逃げ出そうとしましたが、
下人は老婆をつかみ、ねじ倒しました。

 

下人が老婆に何をしていたか問いただすと、
老婆は髪の毛を抜き、
カツラを作ろうとしていた事を自白しました。

 

そして老婆は言いました。
「この女は蛇を干魚だと言って売って生計を立てていた。
わしはこの女が悪いとは思わない。

 

それをしなければこの女は餓死していた。
わしも今この女の髪の毛を抜かなければ餓死をする。
この女もわしを悪いとは思わんだろ」

 

下人はにきびを気にしながらこの話を聞き、
下人の心にある勇気が生まれました。

 

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それは門の下で欠けていた勇気で、
老婆をとらえた時の勇気とは
全然反対の方向に動こうとする勇気です。
下人はにきびから手を離し言いました。

 

「では、オレが引き剥がしをしても恨むなよ。
オレもそうしなければ餓死するんだ」

 

下人は老婆の着物を剥ぎ取り、老婆を蹴倒し、
急な梯を夜の底にかけおりました。

 

老婆はつぶやくような、うめくような声を出して、
梯子の口まで、はって行き、短い白髪を逆さまにして、
門の下をのぞきこみました。

 

外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。
下人の行方は誰も知らない。

 

というお話です。
よく話題に上がるのは
「下人のにきびは何を示唆しているのか?」
というところですが、「若さ」「正義」の象徴である
という回答が一般的だと思います。

 

このような回答が一般的ですが、
私はこのような質問と回答は粋ではないと思います。

 

わからない、感じられない、ピンとこないなら、
それが答えなのです。

 

国語の授業で、
「にきびは何を表していたのですか?」
と聞いて一般論を教えるのは
文学作品を台無しにする行為かと思います。

 

 

何年か経て「あのにきびはもしかして!」
とピンとくる時が大切なのです。

 

先回りしてピンとくる機会を
摘んでしまうのはいかがなものかと思います。

 

話を作品の方に戻しまして、
下人の心情が論理的に、
感情的に、真逆に行き来する描写は
本当に秀逸ですばらしいと思います。

 

ただ、だからこそ疑問に思うところがあるのです。
「下人が急な梯子を夜の底へかけおりた」
そこで終わった方が
いいんじゃないかなと思ってしまいます。

 

老婆が起き上がり、
梯子の口から逆さまに門の下をのぞきこみ
「黒洞々たる夜があるばかりである。
下人のゆくえは、誰もしらない」

 

このくだりが私は蛇足にしか思えません。
老婆がなぜ起き上がり、
はってまで梯子の口から何を見たかったのか?
そんなものはあるのでしょうか?
そして
「下人のゆくえは、誰もしらない」
この一文が、本当に残念です。
これを言ってしまうことで一気に陳腐になります。

 

 

という事で今回は、芥川龍之介先生が23歳の時に発表した
名作中の名作「羅生門」に
あえて一石を投じる事も交えながら感想を述べてみました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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芥川龍之介「鼻」の感想はこちら

 

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